スマホを捨てよ、町に出よう

「どんな鳥も想像力より高く飛べる鳥はいない。人間に与えられた能力のなかで、一番素晴らしいものは想像力である。」

入社7年目、募集・採用・新人スタッフフォロー担当チームでスタッフコーディネーターをしているフランケンです。

これは1960、70年代に劇作家、詩人として活躍した故・寺山修司の言葉です。

寺山のテーマの1つにあったのは「逃れられないものへの呪縛の解き方」。

それは「親」や「家」だったり「故郷」だったりします。

彼ははそれに苦しんでいる人、疎外感を感じている人たちに作品を通じてメッセージを送ります。
「親を忘れなさい」「家を捨てなさい」「町に出なさい」と。

家の中の世界では見えないものがあるから。
ずっと同じ場所にいては気づけない新しい発見があるから。
「大変」と感じていることが、自分が勝手に作り上げた「呪縛」であると気付けるから。

寺山は彼自身も出身地の青森や母親への「呪縛」と向き合いながら
時代へのアジテーター(先導者)として常に若者にメッセージを語りつづけていました。

私は寺山を知った当時田舎から都会に出てきた大学生でした。実家が少しマジメな家風で、ずっとそれに煩わしさを感じていたので寺山に救いを垣間見たのかもしれません。

私は寺山の作品に出会った頃、外の世界に触れることが多くなりました。

昔カタギの舞台監督の下で音楽イベントのスタッフをしてみたり、
飯場と呼ばれる「日雇い労働者」の仕事場で働いてみたり、
夏休みに東京や名古屋、横浜などの町でしばらく働きながら生活してみたり。

今思えば、そうした場所で自分の価値観とは違う「他者」に出会うことに面白さを感じていたんだと思います。そこでは大学生の同世代と一緒にいては知ることができない、いろいろな人生に触れ、生き方の幅を学びました。見知らぬ町の人を違う世界と目背けるのではなく、彼らと酒を呑み交わすことが楽しいと感じていました。自分が触れた世界を人に伝えることにもどこかやりがいを感じはじめ、大学でも自分の行った町の話をよくするようになりました。

人は同じカテゴリーに居続けると新しい価値観を獲得することが難しいと思います。

今は寺山が生きた時代よりインターネットがあるので、知らない世界に出会うことは難しくなりました。むしろ知ったつもりになって、出会うことを必要性を感じていないのかもしれません。

パソコンやスマホの前では外に出なくても、新しい知識を得ることができます。

ただ、きれいに整理された情報ばかりでは、なかなか価値観を揺るがされることは少なくなるのかもしれません。自分の知っている世界にずっといるだけでは予定調和になってしまうのではないでしょうか。

想像力とは「自身が経験していないことや未来のこと、現実には存在しないことを、頭の中で思い描く力」です。

寺山は「町に出ること」と「想像力」の両方を大切にしていました。それは、「町の中で自分の知らないことへの出会い」を想像し、また「想像を越えること」が街の中で起きることがあったからでしょう。

想像力の根元は自分の知らない世界への期待です。知らない世界にいる自分を感じられたときに、人は「自分の新しい顔」を知ることができます。

もし今の状況にあなたが物足りなさを感じているのなら、一度見知らぬ町の自分が普段行かないような場所を訪れてみてください。そこにはスマホの中では出会えない出会いがあなたを待っているかもしれません。

もしかしたら、その相手は‘’青森訛りの不思議なおじさん‘’かもしれませんが。